エンタメ消化器官

様々なエンタメ作品に対する個人的な感想

映画『JUNK HEAD』を観ました。

鑑賞日:2024/2/15

作品名:JUNK HEAD

 

※ネタバレをいとわない形で書いています。未鑑賞の方や、ネタバレを一切踏みたくないという方が閲覧する場合はご注意下さい。

 

あらすじ

環境破壊が止まらず、もはや地上は住めないほど汚染された。人類は地下開発を目指し、その労働力として人工生命体マリガンを創造する。ところが、自我に目覚めたマリガンが人類に反乱、地下を乗っ取ってしまう。それから1600年──遺伝子操作により永遠と言える命を得た人類は、その代償として生殖能力を失った。そんな人類に新種のウイルスが襲いかかり、人口の30%が失われる。絶滅の危機に瀕した人類は、独自に進化していたマリガンの調査を開始。政府が募集した地下調査員に、生徒が激減したダンス講師の“主人公”が名乗りを上げる。地下へと潜入し、〈死〉と隣り合わせになることで命を実感した主人公は、マリガンたちと協力して人類再生の道を探る。今、広大な地下世界の迷宮で、クセ者ぞろいのマリガンとの奇想天外な冒険が始まる!

引用:下記サイトより

gaga.ne.jp

 

概要

Amazonプライム・ビデオにて鑑賞。

この日で配信期限が切れると知り慌てて視聴したものの、普通に期間延長されてました←

全編1時間40分ぐらい(101分)と、まあまあの長さ。

劇場では全年齢対象(※)で公開されていたようですが、内容にもデザインにも不気味さがありますので、怖いと感じる人もいると思います。苦手な人は注意したほうがいいかもしれません。特にお子様にはまだ早いかも。

Amazonプライム・ビデオでは「PG12」となっています。

 

SF&ちょっとコメディ&ちょっとホラーなストップモーション・アニメ映画でした。

 

感想

根気と執念の1作

このクオリティの作品をほとんど1人で……?

実際には協力者の方が数名いるようですが、それでもこれがどれだけ凄くてヤバいことなのか。ものづくりを少しでもかじったことがある人には解ると思います。とんでもないバケモノです。

 

自分を信じて作品を最後まで作り上げるというのは、ものすごく勇気と根気がいる作業です。途中で挫折する人が大半です。

ものづくりをする時って、これで大丈夫かな、これで伝わるかな、面白いのは自分だけじゃないかな、こんなことやってていいのかな、そんな不安と戦いながらも、これは絶対に面白い、自分も楽しいしきっとみんなも楽しんでくれるはず、なんなら楽しんでもらえなかったとしても最悪自分が満足のいく作品に出来るならそれでもいい。作るぞ。作るぞ。そんな感情を何度も繰り返しながら、作品に向き合っていくものではないでしょうか。それを。7年間。ひたすら。

 

どんなに楽しくても折れる時は折れます。続けるだけでもすごいことです。それを完成まで持っていき、ひいては続編まで制作しているとのこと。バケモノでしかない。

背景の建物にせよ、キャラクターにせよ、これらの造形と物量をコマ撮りでやろうというのは相当の覚悟を感じました。

 

独特のアニメーションとデザイン

ストップモーションであることを忘れるぐらいよく動き、けれどもストップモーション特有のたどたどした動きの面白さも残されているように感じました。細部まで創意工夫が凝らされていてよかったと思います。『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』的なダークファンタジーの空気感もあって好きでした。

 

ただ、マリガンのデザインについては、観る人によって結構好き嫌いが分かれるところだと思います。キモ可愛いけど、キモ成分の割合のほうがちょっと多いかもしれない←

足とか牙とかいっぱいあるのはちょっとあの…… 観るよ、観るけど…… 結構グロテスクだよね……

 

SFってなんとなく難しさがある……

ど頭が文章で始まるため、私はそこでつまずいてしまいました(早い

私は時間制限内に長文を読むのが苦手です。『スター・ウォーズ』で最初に流れる文章とかも、まともに読めたためしがない←

でも、ここが読めないと話のとっかかりと目的が解らなくなっちゃう。しかもなんだかややこしそうなことを説明している雰囲気が漂っていて、ちょっとだけ頭を抱えました。「フレーバーなのかも」とも思いましたが、ここで事の発端や目的を説明していると思うので理解できないと置いてけぼりになります。

私は微妙な理解度のまま本編に進んでしまったので、世界に入り込むまでにちょっと時間がかかりました。こういう始まり方をする作品に出会うと、「出来ればこの文章の内容も映像で説明してもらえると助かるんだけどな……」と思ってしまいます。

 

映画としての率直な感想は、「観て損はない。ただ、観ないと後悔するってほどでもないかも」かなぁ……

好き嫌いが分かれる作品だとは思いますが、コアなファンは多いんじゃないでしょうか。アングラ的な匂いもしますし、昔のヴィレッジヴァンガードだったらグッズとか置いてくれそう。


人形劇的なコメディタッチもありつつ、それは何をしてるの…… それも何…… みたいなよく解らないものに対する不気味さもあって、そこも若干観る人を選びそうではありました。

 

私は心が穢れているので、しっぽも、クノコも、観た瞬間に「そんなフォルムで大丈夫か?」となりました。でも「そもそも生殖機能を取り戻すって話だもんな」みたいな。……いや普通に下ネタってことでいいんだよね?笑

 

体感的には短く感じた

「えっ、こんなとこで終わり? 続きは?」となりました。というのも、3部作中の1章とのことで、お話はまだ途中。続編は2025年公開予定とのこと。……3部作!?

junkworld-movie.com

 

 

賞賛すべきは、この作品に向き合い続け、未だ手を止めず取り組んでいる堀貴秀監督の情熱と執念と根気だと思います。ものづくりに携わる人は、戒めとお守りとしてディスク版を家に置いておくのもいいかもしれません。

 

以上、映画『JUNK HEAD』の感想でした。