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様々なエンタメ作品に対する個人的な感想

映画『ゴールデンカムイ』を観ました。

鑑賞日:2024/1/29

作品名:ゴールデンカムイ

 

※ネタバレをいとわない形で書いています。未鑑賞の方や、ネタバレを一切踏みたくないという方が閲覧する場合はご注意下さい。

 

あらすじ

舞台は気高き北の大地・北海道、時代は、激動の明治末期―。

日露戦争においてもっとも過酷な戦場となった二〇三高地をはじめ、その鬼神のごとき戦いぶりに「不死身の杉元」と異名を付けられた元軍人・杉元佐一は、ある目的のために大金を手に入れるべく、北海道で砂金採りに明け暮れていた。 そこで杉元は、アイヌ民族から強奪された莫大な金塊の存在を知る。金塊を奪った男「のっぺら坊」は、捕まる直前に金塊をとある場所に隠し、そのありかを記した刺青を24人の囚人の身体に彫り、彼らを脱獄させた。

囚人の刺青は全員で一つの暗号になるという。

そんな折、野生のヒグマの襲撃を受けた杉元を、ひとりのアイヌの少女が救う。「アシㇼパ」という名の少女は、金塊を奪った男に父親を殺されていた。金塊を追う杉元と、父の仇を討ちたいアシㇼパは、行動を共にすることに。

同じく金塊を狙うのは、大日本帝国陸軍「第七師団」の鶴見篤四郎中尉。日露戦争で命を懸けて戦いながらも報われなかった師団員のため、北海道征服を目論んでおり、金塊をその軍資金代わりに必要としていた。

そして、もう一人、戊辰戦争で戦死したとされていた新撰組の「鬼の副長」こと土方歳三が脱獄囚の中におり、かつての盟友・永倉新八と合流し、自らの野望実現のため、金塊を追い求めていた。

引用:下記サイトより

kamuy-movie.com

 

概要

映画館にて鑑賞。

全編2時間ぐらい(128分)と平均的な尺。PG12。

原作漫画/アニメ最新話まで履修済み。

実写化ということであまり気乗りはしませんでしたが、原作者の野田サトル先生が監修しているということで、それだけを頼りに観に行きました。

それなりに心配ではありましたが、思ってたよりも断然よかったです。ストーリーをかなりじっくり描いています。というか、ちょっとじっくり過ぎないか。これは次回作があるってことでいいのかしら。駆け足で原作シーンをバッサリ切られたり、変な改変されたりするよりはいいと思いますが、俳優陣の年齢の問題などもありますし、このペースで制作して最後のほうまで制作できるのかどうか、という点については心配になりました。

 

感想

配役について

2次元作品の実写化に辟易している人たちは、「また山崎賢人かよ。」と誰もが思ったことでしょう(失礼 私も思いました(すみません

それでもかなり頑張って杉元に寄せてくれていました。アシㇼパさんもイメージから大きく外れるようなことはなかったです。白石も思ったより白石だったし、鶴見中尉も思ったより鶴見中尉でかなりよかったです。馬から落ちてもすぐに走り出すシーン最高でした。カッコよ過ぎ。

実写化というと、残念コスプレ集団になりがちですが、この作品に限っては問題なく観ることが出来ました。足りなかったのは筋肉ぐらいです←

登場人物全員の見た目がほぼ原作通りなところも好感が持てました。私としては、アチャがまんまアチャだったのが一番衝撃でした。みんな大好き谷垣ニシパは出番が少なかったため、魅力はあまり描き切れていないようでしたが。

 

戦争や格闘シーンでの血や泥での汚れっぷりや欠損描写など容赦がなく、原作スピリットを感じました。また、昨今の映像作品では肌を綺麗に見せるため、化粧やCGで毛穴やシミなどをほぼ消してしまう加工をすることも多いです。しかし、この作品は逆で、特に男性陣は、シミやそばかすを上乗せすることでリアリティを出しているようでした。

 

やっぱりコメディって難しい

原作の特徴でもあるシリアス×コメディ。今回の映画において、コメディシーンだけはいまいちでした。実写化やドラマ特有の上滑りが発生していて、人を笑わせるということは本当に難しいんだなと感じました。漫画やアニメではナチュラルに受け入れ、ちゃんと笑うことが出来たシーンなのに、実際にそのシーンを人間がやってみると笑いにならない、というのはよくあることで。今回もそれが発生していました。謎です。サトル先生の漫画における緊張と緩和のバランス感覚が半端ないんだろうなとも思いました。

部分的になぞるだけではやっぱりダメで、そこまでのキャラやバックボーンの積み重ね、状況、フリ、間、タイミング、笑いを誘うのに適した演技、観客の状態、偶然、その他諸々あるんでしょうね。

 

ゴールデンカムイ』のコメディの象徴といえばアシㇼパさんの顔芸ですが、映画のアシㇼパさんにはまだ「恥じらい」と「あざとさ」が見受けられました。変顔しようと思って変顔している感じというか。ギリギリ可愛さを保とうとしているというか。失礼なのは承知ですが、私の目にはそう映ってしまいました。

例えば、杉元のオソマ(味噌だけど)を顔に近づけられるシーン。心の底から嫌だと思った結果、図らずも変顔になってしまった、というよりは、変顔のシーンだから変顔をしようとしているように見えてしまいました。リミッターを外しきれていないだけで、実はもっと出来そうだなとも。ただ、あんまりやり過ぎても浮いてしまうかもしれないので、難しいところではありますが。アシㇼパさんの芯のある人間性、強さと弱さ、どこか儚さが漂っている雰囲気はとてもよく表現されていたと思います。でももっと顔面崩壊してほしかった←

 

俺たちの戦いはこれからだ!

じゃないですよね……?

「こんなキャラも、あんなキャラもいるよ!」と見せ、「さあ、これから金塊争奪戦が始まるぜ!」ってところで終わってる……よね……?

いや正直なところ、私としては「映画はこれ1本で終わりだよ」でも全然いいかなと思っています。

というのも、全く知らずにこの映画を観た人は、きっと原作を読みたくなると思うんです。展開と結末を知りたくなるはず。となると漫画にしろ、アニメにしろ手を出すでしょう。そうすると、気に入った人は最後まで突っ走るように履修しますよね(私はそうでした) 履修済みとなると映画はまあ別にいいか、となる人も出てくるのではないかなと。映画は映画で違う味がするので、私は観るとは思いますが。

未履修者に興味を持ってもらうための大々的な宣伝としての映画だと思えば、大成功と言えるのではないでしょうか。

続編は大歓迎ですが、あのペースで話が進むとなると最終的に全何部作になるのか……

制作されるのであれば、完結するまで誰も欠けないことを祈るばかりです。

 

以上、映画『ゴールデンカムイ』の感想でした。