プレイした日:2024/1/19
作品名:アッシュと魔法の筆
開発元:Pixelopus
メーカー:ソニー・インタラクティブエンタテインメント
プレイしたハード:PS5
※ネタバレをいとわない形で書いていきます。未プレイで中身を知りたくない方や、ネタバレを一切踏みたくないという方が閲覧する場合はご注意下さい。
あらすじ
2014年に登場したフライトアクション『Entwined』(エントワインド)を手掛けたPixelopus(ピクセルオーパス)がおくる “描く楽しさ”と“勇気”をテーマにしたファンタジックなアクションアドベンチャー。
主人公の名前は“アッシュ”。廃れた港町デンスカでかつて暮らしていた、絵が大好きな心優しい少年。
ある日魔法の筆を手に入れ、絵を描いてみると、描いた絵には生命が吹き込まれ、描かれた景色や不思議な生き物――“かいぶつ”たちは動き出す……。
引用:下記サイトより
概要
ノーマルモードでクリア。
寄り道ほとんどなしで、ストーリークリアまで6〜7時間ぐらいでした。
CERO:B(12歳以上対象)。
『Life is Strenge』のような雰囲気を持ちつつも、『キングダム ハーツ』のようなアクション要素もあるゲームでした。内容も極端に重苦しいわけでもなく、手軽に遊べるゲームとなっています。
お絵描き系をテーマにすると、どうしても子供向けっぽくなると思いますが、この作品も例にもれず、といった感じです(それが悪いという意味ではありません
それでも充分楽しめるかなとは思います。
いわゆる"イジメ"的な暴力表現が含まれている、というか中盤までずっとそうなので、そういう話が苦手な人は注意が必要かもしれないです。
感想
2本のゲームをプレイしたかのような感覚
序盤〜中盤は、比較的平和なステルス&お絵描きゲームです。
嫌がらせを繰り返す問題児達に見つからないよう行動しつつ、魔法の筆を駆使しながら、自分で描いた"かいぶつ"達の手を借りて町を救おう、という感じ。
しかし、中盤〜終盤になるとゲーム性が変わり、一気にバトルアクションになります。いい意味で予想外でした。途中でここまでガラッと変わると分離してしまいそうですが、ストーリーで巧く繋ぎ止めているようでした。
私はどちらかというと、アクションゲームは得意ではない(好きだけど下手)ので、「おっと、マジか」となりました。平和なお絵描きタイムから一転、敵を倒すのにひーこらすることに……笑
難易度設定がある時点で「そりゃそうだよね」という感じですが、何も考えていなかった私は完璧に虚を突かれました←
「お絵描き楽し~、かいぶつ可愛い~」って浮かれてたら、戦闘のターンが始まって「え、急に物騒になったぞ、やっべ、どうすんだどうすんだ!?(パニック」ってなりました。とはいえ、そこまで高度なプレイヤースキルを求められるわけでもないので、ゲームをやり慣れている人であれば問題ないと思います。難易度も下げられますし。
誰でも簡単にデザイナー気分を味わえる
スケッチブックを収集し、決まった形のデザインを自由に組み合わせていくだけなので、手軽に絵が描けた気になれて楽しかったです。描いたものがその場で動き出すのも嬉しい。ボヘミアン・ラプソディー!(解らない方はスルーして下さい
かいぶつの各パーツデザインは、不気味さと可愛さを丁度よくミックスしてくれていて、私の好みでした。
描いたかいぶつたちとコミュニケーションが取れるところもよかったです。アッシュがジャンプしたら一緒にジャンプしてくれたり、筆でコチョコチョって出来たり、リクエストに答えると喜んでくれたり、特定の場所では一緒に遊ぶことが出来たりします。荒んだ心をよしよししてもらっているような、ほっこりした気持ちになりました。
素敵なメニュー画面
メニュー画面が使い込んだ手帳のようなデザインになっており、開いた時のワクワク感がかなりよかったです。私はメニュー画面のデザインを眺めるのが大好き侍なので、このデザインはかなり気に入りました。アッシュが町を巡りながら地図やメモ、かいぶつのデザインを書き足している姿が想像出来ます。キャラクターやゲームの特徴に付随した画面デザイン、とても好きです。
不満点
短いな
予想以上に短かったです。というのも、私はこのソフトをPlayStation Plusからダウンロードしてプレイしたので、値段を見ていませんでした←
確かに、この値段(3000円ちょっと)なら、この短さでも納得できるかなという感じです。それなりに値段相応かなとは思います。ゲーム内容からすると、ちょっとお安いのでは? って気もしなくはないですが。
システム面について
ファストトラベルが欲しかったです。中盤からは筆で滑って移動出来るようになりますが、それでもエリア移動の面倒くささが目立ちました。やり残したことがある場所に行きたいと思っても、ステージを地道に移動するしかありません。私は方向音痴なので「このエリアどうやって行くんだっけ?」と、しょっちゅう迷子になってました←
それと、ラスボス中に何回か負けたのですが、チェックポイントがあったらいいのになって思いました。ラスボスは戦闘が何回かに分かれているのですが、負けたら最初から戦い直すことになるので面倒くさかったです。アクションが主軸のゲームであれば、なんとなく納得できたかもしれませんが、この作品はそうではないと思うので、少しだけ優しさが欲しかったです。
金属系のSEについて
これは個人差があるとは思いますが、屋根の上や金属質な場所を歩いている時のSEが、私にはうるさい音(音量の問題ではなく、音の質感の問題です)に感じられ、ちょっとだけ不快でした。鳴るのはいいんだけど、もうちょっと耳心地のいい音にしてほしかった。ファストトラベルの件とも相まって、探索するのがしんどくなってしまいました。
よくあるストーリー
ストーリー自体は割とありきたりで、新しく得られるものはそんなになかったかなって気がします。このゲームはストーリーどうこうよりも、デザインやゲーム内容を楽しむ作品ではないでしょうか。
いつも絵ばかり描いているアッシュは、いわゆるオタク的な扱いで、問題児達に大事なスケッチブックを破られたり、追い回されたりしています。
暴力を振るってしまう問題児たちのバックグラウンドについても描かれており、アッシュは魔法の筆を通すことで彼らの事情を知ります。
問題児達の一人が魔法の筆を奪い取り、折ってしまったことで、町に渦巻く闇が抑えきれなくなり、今まで描いたかいぶつたちがバーサーカー状態に。暴れまわるようになったかいぶつ達は、アッシュを含め問題児達も襲うようになります。
心優しいアッシュは彼らをちゃんと助けるんですよね。私だったら「自業自得、知らんし」って放置したくなる←
まあ、放置すると町が大変なことになってしまうので、結果的には助けないといけないのですが。
助けた問題児達も協力し、どうにかこうにか事を収めたアッシュ。彼らも一連の事件を通して態度を改めます。アッシュは新たな友人の一人として関わっていくのでしょう。ですが、されたことは忘れられないだろうし、心に受けた傷は残ると思います。
彼らは外に対しては加害者ですが、家庭環境においては被害者でもあります。なので、何らかのケアは必要だとは思います。ただ、それは他の誰かに暴力を振るっていい理由にはなりません。
絵をかじっている者としては、楽しく描いた絵を破かれたり、汚されたり、台無しにされることはブチ切れ案件です。問題児達は「いじってるだけ」などと言っていましたが、人が大切にしているものを壊したり汚したりするのは暴力です。
しかし、この手のストーリーは大半が最後に和解します。この作品も、最後は和解しているように見えました。アッシュは彼らを「許す」とは言いません。ですが、前とは違う形とはいえ、おそらくこれからも彼らと関わっていく。気苦労が絶えないだろうなと、余計な心配をしてしまいました。
和解して終わりにするストーリーは、一見いい話に見えますが、「これらの出来事は子供の頃のちょっとした拗れで、それもいつかはいい思い出になる」みたいに扱われているように感じてしまいます。私はこの流れに納得できないことがほとんどです。思春期に起きた嫌な出来事を、いつまで経っても許すことも忘れることも出来ない人もいるんですよ。私がそうです←
まあフィクションですし、理想的ではあると思うので別にいいんですけどね。
このゲームを楽しむのには、ゲーム性、ストーリー含め、向き不向きがありそうでした。私はそれなりに楽しめましたが、人に勧めるほどではないかなぁ。
ただ、かいぶつ達はとっても可愛いので、そういうのが好きな人にはいいんじゃないかなと思います。
以上、ゲーム『アッシュと魔法の筆』の感想でした。